「なんでこんなに自己主張が強いの?」
「言葉が遅い気がして心配」
「お友だちとすぐに喧嘩して困る」
3歳児を育てていると一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
3歳児は自己主張が強くて関わり方が難しかったり、友だちとのトラブルが増えたり、親としては不安や悩みが増える時期ですよね。
この記事では、保育士として13年勤め、現在2人の子どもを育てている筆者が、3歳児の発達の目安や家庭での関わり方のポイントを解説します!
3歳児の発達に不安がある方や、「こんなときどうしたら良いの?」と悩みがある方はぜひチェックしてくださいね!
3歳児の発達の目安

【身体の発達】身長や体重は?

〈参考〉厚生労働省 乳幼児身体発育調査Ⅱ調査結果の概要
男の子と女の子で差が出始める時期で、男の子の方が少し大きくなる傾向があります。
一時的に身長や体重の増加が緩やかになることもありますが心配いりません。
「小柄かも」「太りすぎかも」と不安になりがちですが、元気に活動できていれば大丈夫。
発育が気になるときは、保健センターやかかりつけ医に相談してみましょう。
【運動面の発達】どんな動きができる?
- 片足でケンケンをする
- 平均台を渡る
- 走る・飛ぶよじ登るなどの動きができる
- 三輪車などのペダルをこぐ
- ボールを上から投げる
- クレヨンを正しく持って顔を描く
- はさみを使って一回切りをする
土踏まずが完成し、動きがしなやかになり長時間歩けるようになります。
起伏のある道や公園などで、走ったり飛んだり、いろいろな動きを楽しむのがおすすめです。
ケンケンや三輪車など「〜しながら〜する」という運動に挑戦し、少しずつできるようになります。
「〜しながら〜する」とは?
ケンケン:ケンケンしながら前に進む
三輪車:ハンドルの操作をしながらペダルをこぐ
など2つの運動を同時におこなうことです。
手指の細かい動きができるようになり、◯の中に顔のパーツを描くようになります。
手足がでた「頭足人」を描く子もでてきます。
はさみに興味をもち、やりたがるようになります。
何度も開いたり閉じたりして切ること(連続切り)は難しいため、細長い紙などを用意して1回で切れるようにしましょう(1回切り)
【言葉の発達】どんな話ができる?

- 語位(単語の数)の増加
- 数への興味が出てくる
- 過去の出来事や未来の予定について話せるようになる
- 「どうして?」と聞くことが増える
- 自分の状況を伝えられるようになる
語彙(単語の数)の増加
2歳の頃に比べて語彙(ごい)が2倍ほどになり、2語文や3語文で話すようになります。
まだ単語中心の子もいますが、指差しで伝えようとしたり、親の言っていることを理解していたりする様子があれば心配しすぎなくて大丈夫です。
数への興味が出てくる
10までの数が言えるようになります。
数の意味は分かっておらず、真似をしているだけのことが多いです。
物の数を数えて「◯個ある!」とだんだん分かり始めます。
過去の出来事や未来の予定について話せるようになる
3歳を過ぎるころから現在・過去・未来の区別ができるようになり「公園にいったよ」「こんど遊園地に行くの」など、過去の出来事や未来の予定について話せるようになります。
「どうして?」と聞くことが増える
「なんでダンゴムシは丸くなるの?」「どうして手を洗うの?」など「なぜ?」「どうして?」と聞かれることが多い時期。
これは、言葉の増加とともに、知識を広げようとしているためです。
質問攻めにあうと、返答にこまることもありますが、できる限り答えていきましょう。
子どもと一緒に「なんでだろうね」と、考えたり調べたりするのもおすすめです。
自分の状況を伝えられるようになる
「のどが渇いた」「暑い」など、自分の状態を言葉で伝えられるようになります。
「のどが渇いたからお茶を飲みたいよね」など状況を伝えると、子どもの言葉の理解が深まるのでおすすめです。
たくさん会話をしていきましょう。
【社会性の発達】親や友だちとのかかわりは?

- 友だちのそばで同じ遊びを楽しむ(並行遊び)が始まる
- 「貸して」「いいよ」ができるようになるが親の手助けが必要
- ごっこ遊びを楽しむようになる
- 簡単なルールのある遊びができるようになる
- 「自分のしたいこと」と「しなければならないこと」が分かり始める。
友だちのそばで同じ遊びを楽しむ(並行遊び)が始まる
「友だちと遊ばず、ひとりで遊んでいるけど大丈夫かな」
と心配になったことはありませんか?
大丈夫です!3歳児で一緒に遊んでいる子をよーく見てください。
子どもたちは「一緒に遊んでいるつもり」でも、よく見ると「同じ場所でそれぞれひとりで遊んでいる」ことが多いです。(平行遊び)
ひとりで満足するまで遊んだら、周りのお友だちのやっていることに興味をもちだし、真似してみたりおもちゃの貸し借りをしたりして、遊ぶようになります。
話しかけずに周りの子の様子を見ているだけでも、興味をもっている証拠なので問題ありません!
今楽しんでいることが満足いくまでできるように見守っていきましょう。
「貸して」「いいよ」ができるようになるが親の手助けが必要
「貸して」「いいよ」のやり取りは3歳頃から徐々にできるようになります。
ただし、言葉、社会性、感情のコントロールが複合的に関わるため、うまくいかないことも多いです。
・「貸してほしいときは『貸して』って言おうね」と伝える
・日常の中で親が「貸して」を言うようにして見本を見せる
等することで、少しずつできるようになります。
また、お友達に「いや!」と言われる場合もあります。
その時は「あとで貸してって言ってみる?」など、次の方法を教えていきましょう。
相手にも気持ちがある事に気づくのはまだ少し先です。
友だちの気持ちを伝えつつ、子どものフォローをしていくことで、少しずつ相手の思いに気が付いていきます。
反対に、友だちに「貸して」と言われた場合、無理に「イヤ!」と言って大丈夫。
子どもの気持ちを大切にしつつ「あと3回やったら代わろうか」など、提案していきましょう。
ごっこ遊びを楽しむようになる
想像力が豊かになり、ままごとやお医者さんごっこ、バスごっこなど、いろいろなごっこ遊びを楽しむようになります。
身近な出来事を再現して楽しむことが多く、「ご飯できたよ〜」「注射すぐ終わるからね」など、大人が話している言葉を覚えていてそのまま再現します。
大人や友だちとなりきって遊ぶ中で、想像力や語彙力、社会性などが育つ、とても大切な遊びです。
簡単なルールのある遊びができるようになる
3歳児は「ルールを守って遊ぶ」というより「ルールを経験する」「ルールがある遊びを知る」ところから始まります。
ルールのある遊びをする中で
・順番を待つこと
・人と遊ぶ楽しさ
・我慢すること
・簡単な勝ち負けの理解
など、さまざまな力が育ちます。
負けて悔しくて泣けることもあると思いますが、それも大切な感情です。
何度も経験する中で、少しずつ感情をコントロールして遊べるようになります。
うまく出来なくても「がんばったね」「たのしかったね」と言って子どもの気持ちを受け止めていきましょう。
「自分のしたいこと」と「しなければならないこと」が分かり始める。
「まだ遊びたいけど、お風呂にはいらなきゃ…」など、心の葛藤が現れる時期。
自分の気持ちと葛藤して、やりたいことを我慢できたときは、成長のチャンスです!
「自分で遊ぶのやめて、お風呂に入れたね。格好いい!」など、気持ちを受け止めて認めていきましょう。
我慢したり葛藤したりした気持ちを、受け止めてもらうことで子どもの成長につながります。
【生活面の発達】どこまで自分でできるの?

- 服の着脱や、たたんだりすることができる
- おしっこをしたくなったら自分でトイレへ行く
- スプーンやフォークを使って自分で食事ができる
服の着脱や、たたんだりすることができる
自分でやりたい気持ちが強く、自分で着脱することができるようになってきます。
服の前後や裏表は難しい子もいるので、さりげなく手助けしていきましょう。
手伝いすぎないようにすることで「自分でできた」という自信につながります。
おしっこをしたくなったら自分でトイレへ行く
ほとんどの子がトイレでおしっこができるようになります。
しかし、遊びに夢中になっていたり、環境の変化などでトイレが間に合わないこともあります。
3歳になると「恥ずかしい」という気持ちが出てくるため「気持ち悪かったね」「次は行きたくなったらすぐ行こうね」など子どもが前向きになる言葉をかけるようにしましょう。
「まだオムツで心配」という場合は何が原因なのかで対応が変わります。
トイレを怖がっている場合は、座る見本を見せたり、好きなキャラクターを壁に貼ったりして、怖くないことを知らせていきましょう。
筆者の子どもはトイレの流れる音が怖くて座れませんでしたが「座っている間は絶対に流れないから大丈夫だよ」と見本をみせることで、だんだんと座ることができるようになりました。
「おしっこしたい」と言わない場合は定期的にトイレにつれていきましょう。
「トイレでできた!」という成功体験を重ねていくことが大切です。
スプーンやフォークを使って自分で食事ができる
スプーンやフォークを使ってこぼさずに食べられるようになります。
好き嫌いがはっきりしてくる時期です。
苦手な食材は無理に食べさせなくても大丈夫ですが、食卓には出すようにしましょう。
「どうしても食べてほしい」という場合は、苦手意識が少ないものを一口から始めることをおすすめします。
もし少しでも食べられたら、たくさん認めてあげましょう。
「楽しい雰囲気の中で食事をする」ことが一番大切な食育です。
3歳児の発達に合わせたかかわり方と注意点

3歳児の成長は分かったけど、かかわり方で難しいことはたくさんありますよね。
3歳児と接する際には以下のポイントを大切にしましょう。
- 自己主張や葛藤を受け止めよう
- 叱るときはダメな理由を伝えよう
- 「なぜ?」という問いはできる限り答えよう
- 子どもが自分でできるように見守ろう
- 疲れたときは一息つこう
自己主張や葛藤を受け止めよう
3歳児は言葉で自己主張できるようになる反面、心の葛藤も増えてくる時期。
「〇〇したいけど…」と頭の中でたくさん考えています。
子どもの主張を十分受け止め「でも、今は〇〇する時間だね」と伝えていくことで、少しずつ自分の気持ちを我慢し、感情をコントロールすることができるようになります。
叱るときはためな理由を伝えよう
3歳児になると、理由をわかりやすく伝えると理解できるようになってきます。
理由を伝えたときは理解していても、その場になると忘れてしまうことも多いため、その都度丁寧に伝えていきましょう。
分かっていても「いやだ!」と反抗することもあります。
そんなときは「〇〇したかったんだね。でもね…」と気持ちを受け止めてから理由を伝えてみましょう。
気持ちを受け止めてもらえたことで、冷静に話を聞けることが増えます。
「なぜ?」という問いはできる限り応えよう
「なぜ?」と聞かれると「何回も聞かないで!」と思うことありますよね。
筆者も家事をしているときや、ゆっくりしているときに聞かれると「後でにしてほしい」と何度も思いました。
そんなときは「今はお皿洗いしているから、終わったら聞くね」と伝えて大丈夫。
あとでゆっくり答えたり、散歩中など“なぜ?”のタネがたくさんある場所では丁寧に答えたりするだけでも、子どもの学びに繋がります。
子どもが自分でできるように見守ろう
着替えや食事など、子どもが苦戦しているとつい手伝いたくなりますよね。
そんなときは一呼吸おいて見守ることを意識しましょう。
子どもが試行錯誤しているときこそ、成長のチャンスです!
どうしても難しそうなときは、さりげなく手助けして、自分でできた達成感を感じられるようにしましょう。
子どもの姿に合わせて、手助けしたり見守ったりしていきたいですね。
疲れたときは一息つこう
子育てには休みがありません。
大好きな我が子でも、「少し離れたいな」と思うことがあると思います。
疲れたときは、コーヒーを飲んだり音楽を聞いたり、好きなことをしましょう。
パパやママが笑顔でいることが、なにより子どもの心の成長につながります。
発達が気になる場合は?

・言葉が出なくて不安
・呼びかけに反応しない
・こだわりが強い
子育てをしていると、悩みはつきませんよね。
不安に感じる場合は、専門機関に相談してみましょう。
- 通っている園
- 小児科
- 子育て支援センター
- 保健センター
- 子育て相談窓口(自治体)
- 児童発達支援センター
「発達に少し不安があるだけで行っていいのかな?」
と思うかもしれませんが、大丈夫です。
特に問題がなければ「良かったね」で終わりますし、もし発達障害が分かっても、早く療育へ行くことができ、子どもの成長や親の安心に繋がります。
まずは通っている園や、小児科、保健センターなどに相談してみましょう。
まとめ

3歳児は「これがやりたい!でも…」と葛藤が増え、心が大きく育つ時期です。
子どもの心の葛藤を大切にし、ルールや友だちとの関わり方を丁寧に伝えていきたいですね。
3歳児の成長は個人差も大きいです。
子どもの様子をみて焦らず関わっていきましょう。
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